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購入する個別銘柄を決める判断は無数にあります。
これが正しいとかこれは間違っているとかは基本ないと思います。
なぜなら、株式市場の状況は日々変わっているので投資判断は正解も不正解も日々変わっているからです。
そんな中で過去の株価暴落から学ぶことは多いです。世間から優良企業であり時代の成功者ともてはやされた企業が一転して転げ落ちるケースは少なくありません。
吉野家のBSE問題から見る株価推移
1991年に牛肉の輸入が自由化されたことで吉野家の事業展開は加速するきっかけとなります。
2001年にはデフレの代名詞と言われた牛丼チェーン店の先駆けとなって牛丼並盛を400円から280円へすることで大衆の心をキャッチしました。
特徴的なオレンジの看板はブランド戦略のお手本として取り上げられることも多かったと記憶しています。
牛丼の1本足打法をすることで、調理のシンプル化、オーダーを取るのも単純化されるなど店舗運営としても良いことしかありませんでした。
当時は、そんな吉野家を経営のお手本とされて外食産業の勝者ともてはやされる状況が続きました。
それが一転したのはアメリカで起きたBSE問題でした。これが2003年末に起きて吉野家は牛丼しか提供していなかったので一気に営業縮小するしか方法がありませんでした。
吉野家株価チャート - BSE問題発生時
この時の吉野家の状況を時系列にwikiから抜粋しました。これを見ると2003年末から2007年初めまでの約3年間もメインの牛丼なしで定食メニューやカレーなどでなんとか営業していたことが判ります。
しかし、株価を見ればパニック売りは3ヶ月程度で終わっているのも同時に判ります。
■2003年(平成15年)
12月24日 - アメリカワシントン州においてBSE(牛海綿状脳症)感染疑惑牛発見の発表があり、同12月26日に政府はアメリカ産牛肉の輸入禁止を決定。
12月30日 - 深夜閉店店舗を123店舗に拡大。
■2004年(平成16年)
1月6日 - 一部店舗で新商品の「吉野家のカレー丼」の販売を開始。
その後、「吉野家のいくら鮭丼」、「豚キムチ丼」、「吉野家のマーボー丼」、「吉野家の焼鶏丼」などの新メニューを順次展開。
2月11日 - アメリカ産牛肉の禁輸が長引き在庫がなくなったため、牛丼、牛皿、牛鮭定食の販売休止に踏み切る。
12月上旬 - オーストラリア産牛肉を使った「牛焼肉丼」の提供開始。
■2006年(平成18年)
6月21日 - 米国産牛肉の輸入再開決定で日米が正式合意。
7月27日 - 米国産牛肉の輸入再開解禁。
■2007年(平成19年)
2月21日 - 3月1日より、牛丼の販売時間を深夜0時までに延長することと、「特盛」「牛皿」「牛鮭定食」の販売を再開することが発表された。
吉野家株価チャート - リーマンショック時
完全に余談ですが、吉野家の株価はBSE問題でのパニック売りは可愛いチャートだったことがリーマンショック時を見れば一目瞭然です。
BSE問題では吉野家の経営破綻も噂されていたのに、リーマンショックという相場全体に影響する経済ニュースの大きさが良く判ります。
経済全体が悪くなった方が本業の大問題よりも株価が悪化しているのは株価の不思議な一面ですよね。これを見ても株価に適正価格なんてないんだと思い知らされます。
シャープの液晶一本足打法で大敗したケース
目の付け所がシャープで有名だったシャープという液晶メーカーです。って知らない人はいないですよね。
1990年代はシャープの飛躍が目立ちました。
吉野家と同じくシャープは液晶にすべてを掛けて、勝利を勝ち取りました。
・「ブラウン管テレビをすべて液晶に置き換える」という当時の町田社長のビジョンは、「さすがに無理だ」と言われていた。
・液晶テレビを製品化しても、ブラウン管テレビに比べ価格が5倍ほどはする時代
・しかし町田社長のビジョンは当たりました。'99年に世界初の20型の液晶テレビを発売すると、'02年には三重県・亀山に第6世代という大型液晶パネル工場を新設
・液晶テレビ専門工場であるシャープ亀山工場の所在地三重県亀山市に因んで「亀山産」の表記をしたところ安心感が買われ、爆発的に販売数を伸ばす
・液晶のおかげで確固たるブランド価値がつき、テレビ以外にも冷蔵庫や洗濯機などの白物家電も一流ラインの製品として並ぶことになった。
・「アクオス」で一世を風靡していた頃、町田は社内で「シャープは一流企業になった」と漏らすようになった。社員にも「一流企業らしく振る舞う」ことを求めたという。
・シャープは、昔は、セカンドティァの安売り家電のイメージだったのですが、亀山モデルで成功し(スタートダッシュは良かった)、「もう、セカンドティァではないぞ」という自信と優越感が失敗につながった。
このように液晶で勝負して一気に国内でもトップの電機メーカーとなったシャープでした、液晶以外の電気製品も多く出していましたが売上、利益ともに大きな比重は液晶製造にあり液晶一本足打法とも言われていました。
それでも大成功を収めたシャープは、その経営スタイルは高く評価されていたと記憶しています。私もシャープに転職したいと思っていた時期もありました。
2000年前後の液晶で成功していたときのシャープ株価
ただシャープの天下は長く続くことはありませんでした。
2000年以降からリーマンショックまでは液晶TVが普及しているフェーズで順調だったのですが、リーマンショックから雲行きが怪しくなりはじます。
一番の痛手は中国メーカー、韓国メーカーから安くて品質も良い液晶TVが多く出てきたことです。
これまで国内の亀山工場で高品質な製造工程を保つことでブランド化していましたが、液晶技術の流出や新興国メーカーも努力して一気に液晶がコモディティ化(誰でも作れる技術となること)しました。
シャープ株価 2000年から2017年までの株価推移
ただ、現在は鴻海の参加となってシャープも変わりつつあるようですが電機メーカーはどこも苦労しているので、簡単には復活は出来ないでしょう。
最後にまとめ
吉野家もシャープも一本足打法を成功して一気に売り上げを伸ばして、誰もがその一本足打法を褒めたたえていました。
しかし、その売り上げの軸となっている事業が危うくなると一気に株価は転げ落ちていきます。
そう考えると投資に例えると集中投資と同じですね。上げるときには一気に資産が膨れ上がりますが、下げるときも資産を一気に減らしていきます。
今の日本株で言うとトヨタ自動車の軸となっている自動車が自動運転が普及して誰も自動車を所有しない世界になれば、一気にトヨタ自動車の株価は下げ続けるでしょう。
個別銘柄を購入する時には、自分も世間も全員が認めているような企業でもリスクは存在していて、それがいつ起きても不思議ではないことを覚悟して購入しないと後悔することになります。
そういうことを改めて考えると分散投資が最強にも思えてきますね。インデックス連動型の投資信託やETF購入額を増やそうかな。
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