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景気循環(サイクル)と米国ETFセクター投資の相関関係について

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米国ETFにセクター投資銘柄があることは知っていましたが分散でもなく集中でもない中途半端な感じがしていたので本格的に調べたことはありませんでした。

ただ日々上昇し続けるアメリカ市場を眺めながら、いつリセッション入りしても不思議ではない状況でディフェンシブなセクター投資ってどうなんだろう?って疑問が湧いてきました。

そこで、アメリカで有名なバンガード社、ブラックロック社にあるセクターETFについて調べたことをまとめました。

景気循環とセクターローテーションの関係

景気循環という概念は知っていましたが、その景気サイクルによって強いセクターが決まっているということは知りませんでした。

景気循環のサイクルは以下の周期を繰り返しています。

  • 回復(回復初期)→好況(拡張期)→後退(後退期)→不況(リセッション)

 

これをイメージ図にするとこんな感じです。

景気循環とセクターローテーション

左側が景気循環のイメージ図で右側がセクターローテーションの図になります。

このように景気の波とそのタイミングで成績の良いセクターの相関関係があるとされているようです。

ちなみに2020年1月時点の景気サイクルは間違いなく『好況(拡張期)』でしょう。アメリカ市場では毎日のように株式指標最高値更新のニュースが入ってきます。

そうなると不思議といつ『後退(後退期)』から『不況(リセッション)』になるか?が気になります。

さらには私のように投資先にディフェンシブな銘柄を増やそうかと考えはじめる人も多いでしょう。

それでは具体的にセクターローテーションの具体的なセクターについて調べていきます。

セクター紹介

景気サイクルセクター名主要銘柄
回復一般消費財一般消費財セクター代表銘柄
好況情報技術情報技術セクター代表銘柄
金融金融セクター代表銘柄
後退資本財資本財セクター代表銘柄
素材素材セクター代表銘柄
エネルギーエネルギーセクター代表銘柄
不況ヘルスケアヘルスケアセクター代表銘柄
生活必需品生活必需品セクター代表銘柄
公益公益セクター代表銘柄

コミュニケーションサービス(電気通信)セクターについては最近大きく変動したようで景気循環のどこに入るのか?わからなかったので今回のセクター紹介から省いています。ただSNSサービスや通信サービスなど今後も伸び続けそうな有名企業が多いセクターなので興味が出た人は調べてみて下さい。

一般消費財や生活必需品や情報技術セクターは知っている会社ばかりでしたが、公益、資本財、エネルギーセクターの会社は知らない会社がほとんどでした。

かなり自分の米国企業の知識って偏りがあるんだなぁってことが、セクター一覧表を作ってみてよくわかりました。

さらにセクターについて詳細をみていきましょう。

一般消費財

一般消費財セクター

『一般消費財・・・消費を目的として家庭に需要とされるような財やサービスのこと』

一般消費財とは別に生活必需品というセクターがあるのでピンとしませんでした。

会社で言うと「Amazon」「マック」「スタバ」などが入っているセクターのようです。日本人でも知らない人の居ない企業ですよね。

景気循環サイクルとしては景気が底打ちして回復するときに強いセクターだそうです。

理由としては、市場の信頼感が向上して消費者が支出を拡大しはじめることで景気が回復傾向に向かっている証拠だそうです。

2008年~2020年までのS&P500指数(青)とバンガード社VCR(緑)のチャート

SPX-VCR長期チャート

情報技術

情報技術セクター

情報技術セクターは判りやすいですね。ハイテク企業のことです。

企業で言うと「アップル」「マイクロソフト」「インテル」など、これも日本人の多くが知っている有名企業です。

ただ意外だったのは「VISA」「マスターカード」が金融ではなく情報技術セクターに入っていることでした。この2社が情報技術セクターに入っている理由は、そのビジネスモデルからですが、長くなるので詳細の説明は省きます。

景気循環サイクルとしては好況期に伸びるセクターで、まさに現在のアメリカの好景気を生んでいるので説明は不要でしょう。

2008年~2020年までのS&P500指数(青)とバンガード社VGT(緑)のチャート

SPX-VGT長期チャート

金融

金融セクター

金融セクターもわかりやすいセクターです。そのままですが銀行や保険や投資会社などです。

会社で言うと「JPモルガン」「バークシャー・ハサウェイ」「バンクオブアメリカ」「ウェルス・ファーゴ」「シティグループ」などです。

景気循環サイクルとしては金融セクターも情報技術セクターと同様で好況期に伸びるセクターと分類されていましたが、リーマンショックの影響が大きいのか未だにリーマンショック以降はS&P500の平均リターンを超えていないようです。

2008年~2020年までのS&P500指数(青)とバンガード社VFH(緑)のチャート

SPX-VFH長期チャート

資本財

資本財セクター

「資本財・・・将来の利益が期待できる生産の資本となるような財のことを資本財という」

資本財ってはじめて聞いた!!って人多いですよね。私もセクターETFについて調べていてはじめて聞いた言葉です。なんだよ。資本財って・・・

具体例だと雰囲気は伝わります。

「工場、不動産、生産に使うための機械、運搬に使うための車両」

という分野が資本財ということでした。

景気循環サイクルとしては資本財セクターは、景気の後退期にインフレ圧力の上昇でパフォーマンスが上昇する傾向があるそうです。

2008年~2020年までのS&P500指数(青)とバンガード社VIS(緑)のチャート

SPX-VIS長期チャート

素材

素材セクター

素材はそのままですね。化学、金属などからなる素材を開発している企業です。

なので企業名としてはあまりピンとくる企業名はありませんでした。

企業名で言うと「リンデ」「デュポン」「エコラボ」「エアプロダクツ」などです。

景気循環サイクルとして素材セクターは資本財セクターと同様に景気の後退期でした。

2008年~2020年までのS&P500指数(青)とバンガード社VAW(緑)のチャート

SPX-VAW長期チャート

エネルギー

エネルギーセクター

エネルギーもわかりやすいセクターです。石油やガスなどです。

ただ会社名は全然知りません。「シェブロン」「コノコ・フィリップス」「シュルンベルジェ」「フィリップス66」などだそうですが、1社も知りませんでした。。

景気循環サイクルは、資本財、素材セクターと同様に同様に景気の後退期に強いそうですが。。。

長期チャートを以下に載せましたが2014年からずっと低迷期になっていました。

今後景気の後退期が来たら一転して急上昇するのか?それともこのまま低迷が続くのか?どうなんでしょうね?個人的にはこのチャートを見て手を出そうとは思えませんでした。

他の見方をすれば株価低迷の影響で高配当企業が多いようです。このため米国株の中でも高配当銘柄を好む人達はエネルギーセクター企業を保有している人も多いようです。

2008年~2020年までのS&P500指数(青)とバンガード社VDE(緑)のチャート

SPX-VDE長期チャート

ヘルスケア

医療セクター

ヘルスケアもそのままですが、医療機器や薬などの企業です。

ちなみに「株式投資の未来」でおなじみのジェレミー・シーゲル氏が各業界の投資利回りを1957年から2003年までの期間を調べたところ投資リターンが1番良かったの業界がヘルスケアだったそうです。

企業名で言うと「ジョンソン・エンド・ジョンソン」「メルク」「ユナイテッド・ヘルス
」「ファイザー」「アボット」などです。

景気循環サイクルは、不況(リセッション)時期に強いセクターだそうです。

ここから紹介する3つのセクターは全てこのディフェンシブ・セクターとも言われる不景気に強いセクターです。

2008年~2020年までのS&P500指数(青)とバンガード社VHT(緑)のチャート

SPX-VHT長期チャート

確かにリーマンショック時にS&P500よりも落ち込みが浅く、上昇も力強いチャートになっていました。

生活必需品

生活必需品セクター

生活必需品セクターです。主に家庭用品、飲料水、食料品、スーパーマーケットさらにはタバコです。

企業名で言うと「P&G」「コカ・コーラ」「ペプシ」「ウォルマート」「コストコ」「モンデリーズ」などがあります。日本でもおなじみの企業です。モンデリーズ??と思ったらお菓子メーカーでオレオとかリッツなどのビスケットが有名でした。

景気循環サイクルは、不況(リセッション)に強いセクターだそうです。強いというか生活必需品なので景気に左右することなく購入する商品なので他のセクターと比べて相対的に下がらないということですね。

2008年~2020年までのS&P500指数(青)とバンガード社VDC(緑)のチャート

SPX-VDC長期チャート

2020年時点でヘルスケアセクターほどの上昇はありませんでしたが、リーマンショック時にはヘルスケアセクターよりも落ち込みは低いことが長期チャートで見てもわかりますね。

公益

公益セクター

最後は公益セクターです。公益とは、文字の通りで共の利となることです。電気・水道・ガスなどの社会インフラを提供している会社がメインです。

確かに、公共のもであれば不景気になれば国が最初にお金を流すというイメージもありますよね。

企業名で言うと「ネクステラ・エナジー」「デューク・エナジー」「ドミニオン・エナジー」「サザン」「エクセロン」「アメリカン・エレクトリック・パワー」などですが、1社も知りませんね。。。

景気循環サイクルは、もちろん不況(リセッション)に強いセクターに属しています。

2008年~2020年までのS&P500指数(青)とバンガード社VPU(緑)のチャート

SPX-VPU長期チャート

ディフェンシブ・セクターと言われる「ヘルスケア」「生活必需品」「公益」の3つの長期チャートを見てきましたが、公益セクターが1番リーマンショック時に株価が下落しています。さらに2020年現時点での上昇も1番低い結果になっていました。

バンガード社とブラックロック社のセクターETFを比較

大手2社のバンガード社とブラックロック社の2社が持っているセクターETFの経費率と配当利回りの一覧表を作りました。(2020/01/20時点)

セクター社名ティッカー経費率配当利回り
一般消費財バンガードVCR0.10%1.54%
ブラックロックRXI0.46%1.18%
情報技術バンガードVGT0.10%1.00%
ブラックロックIXN0.46%1.10%
金融バンガードVFH0.10%2.41%
ブラックロックIXG0.46%2.39%
資本財バンガードVIS0.10%1.72%
ブラックロックEXI0.46%1.18%
素材バンガードVAW0.10%2.07%
ブラックロックMXI0.46%0.17%
エネルギーバンガードVDE0.10%3.78%
ブラックロックIXC0.46%9.66%
ヘルスケアバンガードVHT0.10%1.46%
ブラックロックIXJ0.46%1.40%
生活必需品バンガードVDC0.10%2.60%
ブラックロックKXI0.46%2.19%
公益バンガードVPU0.10%2.78%
ブラックロックJXI0.46%3.29%

※ブラックロック社の投資先は米国以外も含まれているので単純に比較はできないの参考までに比べて下さい。

景気サイクルを意識した投資は可能か?

ここで思いつくのは景気のサイクルに合わせてセクターETFを変えて投資することが出来れば市場平均のS&P500インデックス指数に大勝することが可能なのでは?ということです。

ただし、多くのアクティブ投資家がインデックス投資に負けている現実を考えても自分のような素人が出し抜けてるほど甘い世界ではないでしょう。

なので景気循環サイクルに合わせて投資方法をコロコロと変えるような器用なことはしません。というか出来ません。

ただ、老後に向けてよりディフェンシブな投資をしたいという気持ちが強くなっている中でディフェンシブ・セクターへの投資は良い選択肢なのでは?という気持ちになってきます。

ただディフェンシブな資産としては債券の方がメジャーでしょう。

そこで、最後にリーマンショック時にディフェンシブ・セクター投資と債券投資のどっちが正解だったのか?を比べてみたいと思います。

リーマンショック時のディフェンシブ・セクターと債券投資を比較してみる

債券ETFはバンガード社のBNDを使って比較してみます。

2008年~2010年までの株価推移チャートで比較

2008-2010-ディフェンシブセクターと債券を比較

黒色:BND(米国トータル債券市場ETF)
青色:VDC(生活必需品セクターETF)
緑色:VHT(ヘルスケアセクターETF)
黄色:VPU(公益セクターETF)

ディフェンシブセクターと比べても債券ETFの強さがよくわかるチャートになっていました。

ちなみにBNDの配当利回りも2%を超えているのでディフェンシブセクターと比べても利回り的には遜色ありません。

老後に向けて考えるなら債券なのかな。。。って考えますが次のチャートを見て下さい。

2008年~2020年までの株価推移チャートで比較

2008-2020-ディフェンシブセクターと債券を比較
黒色:BND(米国トータル債券市場ETF)
青色:VDC(生活必需品セクターETF)
緑色:VHT(ヘルスケアセクターETF)
黄色:VPU(公益セクターETF)

さらに10年先の現在までの株価推移を見ると債券の弱さが目立ちますよね。。

つまり先の長い若者ならば迷うことなく株式投資なんですよね。

ただ40代、50代の現役世代にとって大規模なリセッション入りして長期低迷するリスクを考えると迷わず株式投資とも言えません

リーマンショック時では、生活必需品、ヘルスケアセクターは4年で債券ETFを超えていますし、公益セクターでも7年程度で債券ETFを超えていましたが、次の景気後退に繋がる○○ショックがこのサイクルで復活する保証はありません

ただそれでもリスクを抑えながら資産を増やすのに債券という手段だけでなくディフェンシブ・セクター投資という選択肢は十分に考える価値はありだと私は思いました。


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