昔はマイナーな言葉だったのですが、最近ではニュースなどでも良く聞くようになっている”半導体”について、だれでも判るように半導体について解説してみます。
このブログのメインテーマでもある株式投資でも半導体関連銘柄などと言われるので聞いたことがある人は多いと思います。
けど、半導体ってCPUとかGPUとかメモリでしょってイメージくらいで詳細は知らない人が多いと思います。
そこで、この記事では半導体についてもう一歩踏み込んで理解出来ることを目指します。
半導体の分類について
半導体って言うとこういうイメージですよね?
だいたいニュースなどではこのような黒くて四角いチップとして紹介されています。
あとは、丸いシリコンウェハーとして半導体を紹介することもあります。
ちなみにアメリカのシリコンバレーの語源がこのシリコン(半導体)です。
最初の黒いチップの中にこのシリコンウェハーから切り出した一遍が入っているので、どちらも半導体として紹介されて正解なのです。
そして半導体という概念を最上位概念として、分類されたのが『CPU、ASIC、FPGA、GPU、Memory』などです。例えば、こんな感じです。
あとIC,LSI,VLSIなんて言葉も聞いたことがあるかもしれませんが、これは1つのチップ(四角い黒い物)に搭載される機能がムーアの法則で年々増えていった時代のなごりです。
今はこの言葉で区別することはないのですが、古い人はまだ使っている人もいますね。
しかしASIC開発・設計現場では死語になっています。(”石”って言う人がいますが、これはICから来た造語です。これは完璧に古い人しか使いませんね。)
話を元に戻して、なんでこんなに細かく分類されているのか?って不思議じゃないですか?
極論を言えばCPUとメモリがあれば他の半導体部品は不要です。
なのにここまで複雑化した背景には部品ごとに特色が分かれているからです。
処理速度と汎用性のトレードオフ関係
処理速度:ASIC(GPU) > FPGA > CPU
汎用性(柔軟性):CPU(GPU) > FPGA > ASIC
これを見ると、あれGPUが最強じゃね?って思う人もいますがGPUは画像処理に使う前提でこの並びになります。
もしそれ以外の処理で使ったとすればCPUよりも処理速度が遅くなることもあります。
あとディープラーニングのアルゴリズムがGPUの得意な処理だったことに目を付けてAIキーデバイスの巨大企業になったのが”NVIDIA”です。
またビットコインなどの仮想通貨のマイニングマシンとしてGPUが使われなくなったのは、仮想通貨のマイニング専用のASICが出回るようになったからです。
もしマイニングが画像処理のような同じ処理の繰り返しだけで済むアルゴリズムだったなら、GPUが最強だったのですがマイニング処理は複雑なアルゴリズムなのでASICが最強となります。
仮想通貨マイニングに向いている半導体:ASIC > FPGA > GPU > CPU(ソフト)
このように処理内容によって適材適所が変わってきます。
なので最終製品を作るメーカーがシステム設計をするときにはソフトウェアで変更出来る汎用性が必要な処理をCPU、リアルタイム性が必要など処理速度が必要な機能はASIC,FPGAというシステム設計をしています。
このように処理速度と汎用性のトレードオフを考えて半導体部品が採用されています。
上記以外にも重要な要素としてコストがあります。
その製品設計で重要なコスト面でもトレードオフ関係が成立しています。
半導体はコストでもトレードオフ関係がある
部品コストの安い順:ASIC > FPGA > CPU(GPU)
開発コストの安い順:CPU(GPU) > FPGA > ASIC
この関係からFPGAとASICでは使い分けがされています。
製品の量産台数が年間で100万台という規模であれば、絶対にFPGAは採用されません。
しかし、年間数百台とか数十台レベルの製品だとFPGAが採用される可能性が強いです。(あと搭載面積の関係でFPGAは大きすぎて無理ってケースもあります。)
ムーアの法則で集積度がどんどん上がっていた時代には、全てCPU処理で済む時代が来るとかCPU+FPGAだけで済む時代が来るとか色々と言われていましたが、まだまだそんな世界にはなっていません。
その理由は簡単で、集積度が上がれば製品に要求される機能も複雑になりASIC化は避けられないというのが実情となっています。
携帯電話に求められる通信量に似ていますね。
昔のiモード時代で通信が遅いと言っていたのですが、4Gになった今でもスマホで通信が遅いと言っています。
通信は十分に早くなっていますがユーザーの求める通信量のレベルが上がり続けていることが一番の原因です。
携帯の通信は5Gに移行しますが、その通信でも足りないようなコンテンツが出てくるでしょうね。
半導体もこれと同じで人間の要求(欲求)にはキリがないので、半導体の出荷量は増え続けると思っています。
従って私は半導体というゴールドラッシュはまだまだ続くと考えています。
金を掘らずにツルハシを売る会社もあり
最後にこのブログのメインテーマでもある株式投資と半導体を絡めて話をしたいと思います。
まず上場している半導体関連企業として有名企業は以下になります。半導体に関係する仕事をしていれば、知らない会社はないくらいのメジャー企業です。
半導体の種類 | 企業名 | ティッカー/企業コード |
CPU | インテル(Intel) | NASDAQ:INTC |
アドバンスト・マイクロ・デバイセズ(AMD) | NASDAQ:AMD | |
ソフトバンクグループ(ARM) | 9984 | |
GPU | NVIDIA | NASDAQ:NVDA |
アドバンスト・マイクロ・デバイセズ(AMD) | NASDAQ:AMD | |
ASSP(ASIC) | ルネサスエレクトロニクス | 6723 |
メガチップス(MegaChips) | 6875 | |
ソニー(Sony) | 6758 | |
クアルコム(Qualcomm) | NASDAQ:QCOM | |
テキサス・インスツルメンツ(Texas Instruments) | NASDAQ:TXN | |
NXPセミコンダクターズ | NASDAQ:NXPI | |
FPGA | ザイリンクス(Xilinx) | NASDAQ:XLNX |
インテル(Intel:Altera) | NASDAQ:INTC | |
メモリ(memory) | サムソン(Samsung Electronics) | KRX:005930 |
SKハイニックス(SK Hynix) | KRX:000660 | |
マイクロン・テクノロジ(Micron Technology) | NASDAQ:MU |
このように半導体ベンダは群雄割拠の時代となっています。
さらに米国ETFなら半導体ベンダに絞って分散投資することも出来ます。
そこで半導体ベンダーに直接投資するのではなく、周辺技術のツルハシビジネスへ投資を検討するのはアリだと思っています。
半導体設計に必須なツールでEDAベンダがあります。
業界としては3大ベンダとして『シノプシス、ケイデンス、メンター』となっていますが、事実上はシノプシス(Synopsys, Inc.、NASDAQ: SNPS)とケイデンス(英: Cadence Design Systems, Inc、NASDAQ: CDNS)の2大ベンダーです。
あとは、半導体製造装置のTEL(東京エレクトロン)とか半導体検査装置アドバンテストなどもありでしょう。
この記事が『半導体って何??』って人の役になれば幸いです。
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